テキストサイズ

夢で逢えたなら~後宮秘談~

第4章 愛撫

 否と、彼女は考えた。愼尚宮は、そんな空恐ろしいことを王が企んでいるとは想像すらしていないだろう。
 個人的に見ても、あの愼尚宮は良い娘だ。国王の寵愛を一身に集めていても、少しも驕ったところがない。大抵の女は一度でも王の寝所に侍れば、はや天下を取ったような我が物顔で後宮の廊下をのし歩くものだ。
 楊尚宮の眼には、愼尚宮の慎み深さが好ましく思える。だからこそ尚更、あの優しい娘が夜毎、酷い抱き方をされた挙げ句、身ごもらせようと躍起になっている王に精を注ぎ込まれているのだと思えば、不憫さが募る。しかも、歩くのさえ覚束ないほど身体が傷つくまで夜通し責め立てられる娘が哀れだった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ