夢で逢えたなら~後宮秘談~
第5章 妖婦
「ごめんなさい。折角、昌淑に作って貰ったのに」
が、お付きの世話係というのはあくまでも形式だけであって、二人は以前と変わらず無二の親友関係を維持している。従って、他人(ひと)の眼がある場所では主従らしくふるまうが、このような私的な二人だけのときは、言葉も態度もすっかり友人同士に戻る。
「手間のことはどうでも良いの。でも、これ以上食べないと、死んじゃうわよ? ねえ、百花、やっぱり、尚薬さまにちゃんと一度診て貰った方が良い」
昌淑は運んできた小卓をおもむろに脇に置く。上にかけられた鮮やかな牡丹色の風呂敷を取ると、白い湯呑みに入った薬湯を差し出した。
が、お付きの世話係というのはあくまでも形式だけであって、二人は以前と変わらず無二の親友関係を維持している。従って、他人(ひと)の眼がある場所では主従らしくふるまうが、このような私的な二人だけのときは、言葉も態度もすっかり友人同士に戻る。
「手間のことはどうでも良いの。でも、これ以上食べないと、死んじゃうわよ? ねえ、百花、やっぱり、尚薬さまにちゃんと一度診て貰った方が良い」
昌淑は運んできた小卓をおもむろに脇に置く。上にかけられた鮮やかな牡丹色の風呂敷を取ると、白い湯呑みに入った薬湯を差し出した。