テキストサイズ

夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

「さあ、呑んで」
 そうまでされては、呑まないわけにはゆかない。百花が子どものように口を開けると、昌淑がさっと薬湯を流し込んだ。昌淑は百花より四つ年上なせいか、親友というよりは姉のようだ。
「酷(ひど)い味」
 小さく呻いた百花が突如として胸を押さえ、烈しく咳き込み始めた。
「ううっ」
「大丈夫?」
 昌淑が慌てて百花の背後に回り、薄い背中をさすった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ