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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

「私はもうかなり前に聞いたことがあるわ。金淑儀のご病気がああまで悪くなったのは、沈貴人の陰謀だって。何でも沈貴人の腹心の女官がひそかに金淑儀の呑む薬湯に毒を潜ませていたとかいう専らの噂」
「幾ら沈貴人でもそんな怖ろしいことはしないでしょ」
 百花が冗談に紛らわせてしまおうとしているのに、昌淑は怖ろしいほど真剣な眼でこちらを見ている。その視線が自分の腹の辺りに注がれているのに気付き、百花は笑った。
「どうしたの? 怖い顔」
「百花!」

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