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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

「そんな馬鹿なこと―」
 あるはずがないと続けようして、百花はハッと息を呑む。最後に月のものが来たのは確か、三月の終わり頃だった。そして、四月にの初めに王の寝所に召されてからというもの、月のものは一度も来ていない。
「これは私の推測にすぎないけれど、多分、百花は主上(サンガン)さま(マーマ)のお褥に上がってまもなくお胤を宿したのよ。普通は身ごもったら、大体二、三ヵ月くらいから遅くても四月(よつき)くらいまでに悪阻が―丁度、今のあなたのように胸がむかむかして何も食べられなくなってしまうものなの。

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