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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

「確かに私が薬房に出向いて、自分で煎じたものよ。私の知っている限りでは、誰も薬湯を煎じていた土瓶に近づいてはいないわ。少なくとも私が見ている場所ではね」
 昌淑は最後の部分を強調して言い、グイと百花に顔を近づけた。
「良いこと? 金淑儀だって、身辺には十分に気を配っていたのよ。何しろ兵曹判書さまを後見に持つ方ですもの。兵曹判書さまが孫家から気の利く女官たちを大勢送り込んで、金淑儀さまの回りを味方で固めていたの。それでも、毒は金淑儀の薬湯に巧妙に仕込まれた。

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