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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

 金穏格と姉妹同様に睦まじかった従姉のもう一人の金淑儀は、最後までその骸に取り縋って離れようとしなかったと伝えられた。 
 金淑儀が淋しく失意の中に死んでいったのは、自分のせいかもしれない。もちろん、百花自身は金淑儀の死など望むどころか、考えたこともないけれど、王が百花ばかりを召して金淑儀から脚を遠のかせたというのなら、自分は罪深いことをしたのだろう。そう考えると、百花の心は沈んだ。
 ますます塞ぎ込む百花を昌淑は慰めた。
「あなたが悪いわけではないわ。こんなことを言っては申し訳ないけれど、金淑儀は運がなかったのよ。気にしないで」

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