夢で逢えたなら~後宮秘談~
第5章 妖婦
王がやっと彼女の枕辺に駆けつけたのは容態が急変した昨日、その時、既に彼女の意識は朦朧としていた。それでも、うわ言のように〝主上(サンガン)さま(マーマ)、主上さま〟と呼び続け息を引き取ったという。
その哀しい最期は後宮中の女たちの涙を誘った。金淑儀は臨終の間際、淑儀から昭儀へと位が上がるという栄誉を賜ったが、そんなことが今更、何になったというのだろう?
流石に逝こうとしている彼女を王が不憫に思っての異例の昇進であったが、金淑儀にとっては死の間近に昭儀になるよりも、もっと早くに良人である王が訪れてくれた方がよほど嬉しかったはずだ。
その哀しい最期は後宮中の女たちの涙を誘った。金淑儀は臨終の間際、淑儀から昭儀へと位が上がるという栄誉を賜ったが、そんなことが今更、何になったというのだろう?
流石に逝こうとしている彼女を王が不憫に思っての異例の昇進であったが、金淑儀にとっては死の間近に昭儀になるよりも、もっと早くに良人である王が訪れてくれた方がよほど嬉しかったはずだ。