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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

 提調尚宮と監察尚宮の二人が金延苑をひそかに問いただしたところ、金延苑はあっさりと罪を認め、自分が沈貴人を呪ったのだと自白した。
 しかし、導宗は金延苑を表立って罰そうとはせず、監察尚宮と相談の上、延苑を後宮から追放するだけにとどめた。金延苑は大切な従妹に毒を食(は)ませた沈貴人が許せなかったのだ。いわば、復讐であった。本来なら延苑は追放だけでは済まなかったはずだが、王も亡くなった金淑儀を思いやってのことだったのだろう、〝金延苑は重い病気のため、後宮を下がり、療養に専念する〟と公表され、あくまでも追放ではなく、円満に後宮を下がることになった。

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