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　後宮を出た金延苑は実家には戻らず、そのまま寺に入った。尼となって亡き従妹の菩提を弔いながら余生を送るとのことだった―。
　こうして、金淑儀を巡る一件はひと段落ついたかに見えた。が、金延苑が沈貴人を呪詛したというだけの罪で後宮を追放され、金淑儀に毒を飲ませた沈貴人がそのまま何の咎めもないというのは、いかに何でも片手落ちではないか。百花はそう思った。
　沈貴人が金淑儀に毒を飲ませたというのは、何も根も葉もない噂のみではない。沈貴人に仕える腹心の女官が金淑儀の殿舎からそっと出入りするところを数人の女官が目撃しているのだ。