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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

 沈貴人が毒を盛ったという証拠は何一つない。これでは、王も貴人を罰することはできない。また沈貴人の父礼(イエ)曹(ジヨ)判(パン)書(ソ)の立場を考えれば、はきとした証拠もないのに、王も貴人を罪人扱いするわけにも罰するわけにもいかなかったのだ。
 結局、沈貴人には何の処分もないまま、この事件は闇に葬られることになった。
 この事件を見るにつけても、後宮、いや王宮という場所は何と空恐ろしい伏魔殿だと思わずにはいられない。
 百花はひそかにそう思った。

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