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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

 これには王も苦虫を噛み潰したような表情で、ひと言もお言葉はなかったと、一部始終を見ていた内官たちが後で喋っていた。それを聞いた女官たちがまだ後宮中に噂を広めてゆく。
 こうして、噂というものは、事が起こったその日の中には後宮はおろか王宮中にひろがり、やがて、市井の民たちまでもが、雲の上の世界のことをさも見聞きしてきたかのようにしたり顔で囁き交わすのだ。

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