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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

 まさに後宮は多くの罪なき女たちの怨念、恨み辛みが巣くい、凝り固まった場所であるともいえよう。
 しかし、百花はこうも思うのだ。
 確かに嫉妬や野心ゆえに罪なき者を陥れようとする女の心は醜悪極まりないけれど、結局、女がそこまで追いつめられるのも男ゆえではないか。後宮でいえば、王その人である。
 確かに金淑儀を殺したのは沈貴人かもしれないが、そのそもそもの原因を作ったのは他ならぬ導宗なのだ。市井の貧しい民たちのように、良人が妻一人を一生涯愛おしみ、守り抜くのであれば、このような怖ろしく哀しい悲劇は起こりはしないだろう。

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