夢で逢えたなら~後宮秘談~
第1章 恋の訪れ
何しろ、格好良いなと漠然と思う若い内官はいても(例えば、馬内(マーネ)官(ガン)などは監察部(カムチヤルブ)に所属する、若手の中でも飛び抜けて優秀なエリートである。彼が演習で颯爽と剣を振るう姿を遠くから眺め、どれほど多くの女官が熱い吐息を洩らしていることか!)、現実に自分が内官と恋に落ちるなんて、想像したこともないし、できない。
「まっ、そろそろ春だし、私にも少しくらいは幸せのお裾分けが来るかもね」
百花は独りごちると、とりとめもない物想いに終止符を打った。
もうすぐ、大好きな桜が咲く。一面の世界が薄桃色に包まれれば、せめて心持ちだけでも華やぐだろう。そう考えて、〝よいっしょ〟とかけ声をかけ、山のような洗濯物の入った籠を抱え上げる。
「まっ、そろそろ春だし、私にも少しくらいは幸せのお裾分けが来るかもね」
百花は独りごちると、とりとめもない物想いに終止符を打った。
もうすぐ、大好きな桜が咲く。一面の世界が薄桃色に包まれれば、せめて心持ちだけでも華やぐだろう。そう考えて、〝よいっしょ〟とかけ声をかけ、山のような洗濯物の入った籠を抱え上げる。