テキストサイズ

夢で逢えたなら~後宮秘談~

第1章 恋の訪れ

 小柄で痩せっぽちの百花だが、力は人一倍あるのが自慢である。もっとも、年頃の娘としては、あまり自慢にもならないかもしれないけれど―。
 そのときだった。
「凄い力だな」
 ふいに頭上から男の声が降ってきて、百花は弾かれたように顔を上げた。愕きすぎて、手にしていた籠を取り落とし、弾みで中身が殆ど転がり出てしまった。
 折角、両腕と肩が痛くなるくらいに一生懸命に洗い上げた白い洗濯物が土で汚れてしまった。
「何てことするの!」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ