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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

 王は嫌いなはずの男、顔を見なくてホッとしているような男のはず。なのに、再会して、何故、私はこんな風に胸の動悸が速くなってしまうの?
 見つめられている中に、顔が熱くなった。どうか、神さま、この顔の紅さが殿下に気付かれませんようにと心の中で祈る。
 王の手を見て、百花は息を呑んだ。
 大きな手のひらに不似合いな一輪の花は、鷺草だった。
 百花が眼を見開いて見つめると、王の静謐な双眸に一瞬、切なげな光が閃いた。

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