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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

 百花もまた気持ちを引き締めて提調尚宮を出迎えた。
「何事でしょうか、提調尚宮さま」
 立ち上がって出迎え、上座を譲ろうとした百花に向かって、提調尚宮はゆっくりと首を振る。
「結構でございます。私は女官長とはいえ、一使用人に過ぎませぬが、あなたさまは畏れ多くも国王殿下にお側近くお仕えする御身ですゆえ」
 国王の想い者だから、下座には座らせられぬと暗に言われ、百花はやむなくそのまま上座に座った。

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