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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

 百花は眼前が真っ白になった。絶望の底に突き落とされるとは、まさにこのことだ。
「どうして、そのことが―」
 懐妊の事実を知るのは百花と昌淑だけのはず―、いや、他に一人いた!
 百花は縋るように視線を部屋の片隅に控える昌淑に向ける。昌淑が口惜しげな顔で小さく首を振る。これ以上、この場は逆らうなと言っているのだ。
 しかし、百花はこのまま引き下がるつもりはない。

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