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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

 あの男からすれば、当然の選択であったろう。
 百花と昌淑の読みが甘かったと言わざるを得ない。
「私は―」
 百花は唇をきつく噛みしめた。
「側室になるつもりはございませぬ」
「何と」
 提調尚宮が呆れたように声を上げた。
 この謹厳な老尚宮の長い後宮生活で、昭儀に任じられると聞かされ、厭だとごねた女は恐らく初めてであったに違いない。

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