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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

 百花が愕いて王を見ると、王は笑いながら言った。
「そなたはいつも大きな荷物を持って歩いているな。桜のそろそろ咲こうとする頃、初めて出逢ったときも、やはりこんな風にたくさんの洗濯物を山のように抱えていた」
 端整な顔がふと引き締まり、真摯なまなざしが百花に向けられた。その強い視線に射竦められるようで、百花は視線を逸らそうとする。
 王が素早く百花の手を取った。
 小さな手のくすり指に、そっと紅い石の指輪が嵌められる。

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