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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

「そのような顔で見つめられたら、男はひとたまりもない。予は余計にそなたを諦められなくなるではないか。頼むから、予の妻になってくれ。百花、予はどうやら、そなたなしでは生きてゆけそうにない」
 最後の発言は、どう考えても国王としての威厳にふさわしいものとは言い難かったが―、一人の女としてはこの上なく嬉しいものに違いなかった。
 王がふと視線を動かし、地面に置かれた籠を見やる。相変わらず山ほどの洗濯物が入っている。
 クスリと王の口から笑いが洩れた。

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