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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

 王が泣いている。
 百花が弾かれたように顔を上げる。
「殿下―」
「予はそなたを手に入れるために、酷いことをした。さりながら、そなたがすべてを許して予を受け容れてくれるなら、予は今度こそそなたと子を守りたいのだ。そなたと子と―新しい自分の家族を父として良人として守りたい」
 その真摯な表情は、一国の王である前に、恋する女人に求婚する十八歳の青年のひたむきさしかない。

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