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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

 この国の父と呼ばれる方が私のために泣いている―。
 導宗の温かな涙は、百花の心を春の風のように優しく包み込み、ゆっくりと溶かしてゆく。
 百花は、もう一方の自らの手を王の手のひらに重ねる。
「私も殿下にどこまでもお伴致します。天が私たち二人を分かつまで、もうお側を離れません」
「百花!」
 王の太い腕に強く抱き寄せられ、百花はその広い胸にそっと頬を寄せた。

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