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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

「尚(マ)宮さま(ーマニン)!」
 百花が慌てて駆け寄ろうとするのを片手で制し、崔尚宮はゆるりと首を振る。
「そなたにはこの度の罰として、慎(シ)言(ノン)牌(ペ)に記されている全文を少なくとも五十回書き写すことと、更にはこの殿舎の拭き掃除を毎日、すべて一人でやることを命じます。また(トーハン)、私が良いと申すまでは自室にて謹慎致すように」
 主に対する不敬への罰なのだから、これはまだしも寛大であるといえよう。しかし、あくまでも一時しのぎのものであって、正式な処分は追って提調尚宮から沙汰があるはずだ。

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