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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

 いや、恥ずかしさよりも、怒りの方がよほど烈しい。見るに耐えない無様な格好をしているのなら、早く教えてくれれば良いのに、愉しげに見物していただなんて。
 普段、この殿舎に内官以外に男性が出入りすることはなく、ましてや国王を迎えたことなど皆無なのだ。だからこそ、安心してチマも捲って拭き掃除していたのに。
 大体、私がこんな罰を受けることになったそもそもの原因は誰にあるのだ、それを判っているのか、この人は。
 言いたいことがぐるぐると渦を巻いていたけれど、昨日の今日で、同じ失態は繰り返せない。

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