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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

 ちなみに提調尚宮の謹厳さは先代の王ですら一目置いていたといわれるほどである。今年六十歳のこの老齢の女官長は後宮いや、宮廷の生き字引のような存在であり、どのようなことであれ、この人の知らぬ出来事はないといわれるほど三代の王の治世に精通していた。
 尚宮長が入宮したのは今から五十五年前、現王の祖父道祖の御世である!! 以来、三人の王の後宮に仕え、一女官から後宮を統括する後宮女官長にまで上りつめたこの金(キム)雲(ウン)慶(ギヨン)は、導宗の父醇(スン)宗(ジヨン)の誕生と崩御を間近で見、また、その醇宗の子の導宗が赤ン坊の砌は抱っこして襁褓も替えたといわれる女性だ。

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