テキストサイズ

夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

「それは確かなことなの、金淑儀。そのような大切なことを迂闊に口外して、万が一、間違いであったら、どうするの?」
 沈貴人が水を差すと、金淑儀はしてやったりと言わんばかりの顔で平然と返した。
「あら、金淑儀は既に尚薬さまにも診て頂いて、ちゃんと確認したと仰っていてよ。あなたの方こそ、殿下の御子を懐妊した側室に対して失礼なことを仰っては、お立場が危うくなるのではないかしら」
「なっ」
 沈貴人が悔しげに紅い唇を戦慄かせる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ