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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

「は(イ)、はい(イエー)」
 慌てて飛んでゆくと、大王大妃のやや下手に座る沈貴人が眦をつり上げていた。
「何でございましょうか、沈貴人さま(マーマ)」
 美しく化粧しているはずの顔が嫉妬にどす黒く染まっている。元々、細い眼がキッとつり上がり、まるで狐面のようだ。これでは国王でなくとも、逃げ出したくなるだろう。
 まさか、考えていることが伝わったわけではないだろうが、沈貴人が烈しい眼をこちらに向けた。
「何度呼んだと思っているのだ? 代わりの酒を持ってくるようにと言っている。全く躾ができていない女官ね。どこの宮の女官なの?」

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