甘すぎて気絶
第7章 体育教師の恋
さて。最終下校時間のチャイムが鳴り
今日も見回りに向かう。
外は昨日よりも暗くどんよりとしていて
今にも雨が降りそうだ。
3階へ上がり、奥のA組から見回り、B組へ。
誰もいない校舎は静まり返っている。
キュッキュッと自分の靴の音だけが響く。
「さすがに今日は誰もいないか」
B組の後ろの窓から順に鍵を確かめ
黒板の前を通って前のドアからでる。
ふと。
昨日のことを思い出して教壇の下に
ちらりと視線をやった。
「なっ…。お前…」
今日もいる。遠藤。
体育座りで。教壇の下に。
「なは、は。センセ、やっほ」
俺と目が合うと例のごとく
のそのそと這い出てきた遠藤。
まさかこいつ、人のセックスを覗くのが趣味か?
訝しげな俺の視線に気づいたのか
遠藤が慌てて首を振った
「ちっ!違う違う!
センセのこと待ってたの!!」
はぁ?
「なんで、俺?」
「だって、センセ言ったじゃん!
分からない事があったら聞きに来いって!」
だけどセンセどこにもいないんだもん。と
口を尖らせる遠藤。
なるほど。
こいつ体育教師は体育教官室にいることを知らないな?
「俺、体育館脇の教官室にいるけど」
目を泳がせて考えている様子を見ると
どうやら教官室の存在すらしらないらしい。
なんだか見た目と違って抜けてるやつだな。
「で、質問は??」
そう聞くと慌てて教科書を広げようとする遠藤。
「あー、まてまて。
見回り終わってからでもいいか?
こっち側閉めちまうから。教官室で教えてやるよ。」
カバンと教科書を抱えて
ぽてぽてと俺の後をついてくる遠藤。
意外と喋んねぇのな。
なんか、犬みてぇ…。
ふっと吹き出してしまいそうなのを抑えて
教官室へ向かった。