甘すぎて気絶
第7章 体育教師の恋
気づくと外は雨が降り出してい真っ暗だ。
区切りのいいところで終わらせて遠藤を帰した。
家まで送ってやりてぇところだが
さすがにそれは問題になりかねない。
聞くと自宅は高校からは歩いて通っているようで
10分くらいだと言うので
気をつけるように伝え、正門で見送った。
教官室に戻り、思い浮かぶのは
赤面した遠藤の顔。
いや。いやいやいや。
やばいだろ、俺。しっかりしろ。
邪念を振り払うように頬を叩いた。
それから遠藤は体育教官室をえらく気に入ったようで
毎日のように訪れるようになった。
派手な見た目とは裏腹な気さくで嫌味がなく、
すこし天然な性格の遠藤は
ほかの先生からも気に入られて
毎日お気に入りの店にやってくる
ノラ猫のような存在になっていった。
遠藤は好きな時間にひょっこり現れる。
朝イチ寄っていく日もあれば
お昼の弁当を食べながらくつろぐ日もあれば
ほかの先生が帰る頃にやってくる日もある。
もちろん、授業の質問にくる日もあるし
何にも用事もないのにやって来て
俺の横でただ、仕事を眺めている日もある。
まぁ、体育教師の本業は体育だ。
保健体育の授業よりも実技がメイン。
そもそも座学が少ないので
授業の質問なんてのは ほんのたまにで
遠藤が来るほとんどは暇つぶしのような感覚だろう。
そんな犬のようで猫のようでもある遠藤に
俺の中でも少しずつ特別な感情が芽生えている。
自覚はしている。
かといって。
それは口にも態度にも出さないが。