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甘すぎて気絶

第8章 スーパーヤギヌマ



「お待たせしました〜っ」

少し具材を取っておいてスープも作って
それからお兄さんのお漬物も切って少し出した。

「うっわ…!!!!うまそう!!」

少年のようにぱぁっと目が輝いて、
なんだかちょっとかわいいなあ

「お口に合うかわかりませんが食べてください」

「いただきますっ!!!」

手を合わせて、凄い勢いで食べ始めるお兄さん。

お腹減ってたんだなあ〜っ、
確かにもう22時半過ぎてるもんね


オムライスもスープもお漬物も
あっという間に完食

「ごちそうさまでしたっ!!!」

きた時よりも元気な声
よかった、喜んでもらえて

「あははっ、お粗末様でしたっ」

つられて私も笑顔になってしまう
なんか、いいなぁ、このお兄さん
すごく好印象あたしこういうひと好きだな
素直に喜んでくれる人って、いいよね


食後にまた麦茶を一杯のんで
お兄さんは席を立った

「こんな時間になっちまってすみません…」

「いやいや、あたしも強引に連れてきちゃって
ごめんなさい
いつもお兄さんの姿みてたからなんかつい…」

ちょっと顔を赤くしたお兄さんが
ポケットをごそごそして出したのは赤い箱


「これ…ほんの少しなんですけど
よかったら食べてください」

レジ脇で追加したビスケットだ…
あたしのために買ってくれてたの…!?

なんだかすごく心の中がじんわりあったかくなって
なんてことないビスケットの箱がすごく大切に思える


「わぁ…!ありがとうございますっ
大事に食べますねっっ」

「うす、じゃあ、お邪魔しました」

アパートの下まで一緒に出て
お兄さんを見送った

お兄さんは風邪引くからいいです、なんて
断ったけど無理無理押して外に出る


小さく手を上げて、それから寒さに肩をすぼめて
ポケットに手を入れて歩き出した後ろ姿


あれ、なんだかおかしいな
すごくすごくさみしいや

彼と別れてから誰かに料理を作るなんて
久しぶりだったからかな

お兄さんの姿が見えなくなるまで
ずっとずっと見送った


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