甘すぎて気絶
第8章 スーパーヤギヌマ
この日から特売日の日はお兄さんが
うちにご飯を食べにくるのがなんとなく当たり前になった。
最初は遠慮がちだったお兄さんも
今では我が家のようにくつろいでいる
お兄さんについて色々わかったことがある
24歳で、あたしの2こ上。
高校卒業と同時に就職して、
なんかあたしにはよくわからないけど
現場に出て体を使う力仕事みたい。
てことはもう社会人生活も長いのに
自炊ができないし、疲れてねちゃうから
毎日お弁当を食べてたんだって。
男の人の一人暮らしはそんなもんなのかな
好物はカレーとハンバーグ。
まるで子どもみたいでリクエストを聞くと
いっつもこれしか言われないから
あたしももうメニューに困った日は
カレーかハンバーグしか出さない。
喜んでくれるからいいんだけどね
ちなみに、付き合って、ない。
それどころか名前も聞いてなかったりする。
うちに来るようになってしばらく経つけど
名前を聞くタイミングを逃してそれっきり…
今更名前なんて聞けない聞けない
お兄さんにはあたしのバイトの名札をみて
及川さんって呼ばれてる。
それからそれから、
実はいつも頭に巻いてるタオル、
外してるところも見たことない
いつもご飯を食べてすぐ帰るし、
カッチリ巻かれてるから
どんな髪型なのかたまに気になる時があるけど…
まさかハゲてるとか…?
想像したら笑えるかもっ
今日もお兄さんは嬉しそうに
あたしの料理を食べて帰っていった
玄関に置いてある貯金箱にチャリン、と
お金を入れて。
断ったけど、来にくくなるから払わせてって。
いつのまにか貯金箱に貯まったお金で
またお兄さんのための食材を買うシステムが定着している。
ほんと、それくらい頻繁にお兄さんはうちに来てる。