甘すぎて気絶
第8章 スーパーヤギヌマ
「え、健太…?」
なんで??急に?
健太とは一年半付き合っていたけれど
好きな人ができたと振られてしまった
すごくすごくショックで
しばらく毎日泣いてた気がする。
その時のことは正直あんまり覚えてない…
「急に押しかけてごめん。
俺、…ずっと後悔してたんだ
亜衣子の泣いてる顔がずっと頭に残ってて
一年半も付き合ってたのに、俺、ほんとごめん…」
「だって、好きな人ができたって…」
「ちゃんとケジメつけてきた。
俺やっぱり亜衣子じゃないとダメだ。
もう一回付き合ってほしい」
真剣な表情で話す健太と
突然すぎて何が何だかわからないあたし。
え、え?
よりを戻すってこと??
どうしたらいいのかわからないけど
頭に浮かぶのはお兄さんの顔
なんだか急に涙が溢れてきて
止まらなくなってしまった
お兄さん、会いたいよ
「急すぎるよな、
でも、真剣に考えてほしいんだ
俺、ほんとうに………っ」
言いかけた健太の言葉が止まる
健太を見上げると、視線はあたしじゃない。
視線の先には…
走ってきたのか息を切らせたお兄さんの姿
「っはぁ、はぁ、何これ?お取り込み中?」
お兄さんっ!!!
あたしは思わずお兄さんの方に手を伸ばした
全てが急すぎて何も考えられてない
健太のことも、お兄さんのことも。
でも、ただただ
あたしの心がお兄さんを求めたんだと思う
お兄さんはあたしの手を取って
優しく引き寄せてくれた。