テキストサイズ

甘すぎて気絶

第6章 オオカミさんとウサギちゃん




――あれから


あの日、黒澤先輩はものの30分程であたしが1日がかりで苦戦した書類を片付けた。


呆れた顔で
「本当に機械だめなんだな」
とため息混じりに嫌みをいわれたけれど

まさかのまさか。
危ないから、と先輩の車で自宅まで送ってもらってしまった。


先輩って意外と優しいのかも?


そんな出来事から数日。



あたしを心配してかなんなのか
終電を過ぎた頃に黒澤先輩がひょろっと現れて
あたしの残業につき合ってくれるようになった


代わりに書類を片付けてくれる日もあれば
イスに座ってクルクル回ったり
あたしの仕事を見ていたり
はたまた隣のデスクで寝ていたり。



何がしたいのかはいまだにはっきりわからないけれど
黒澤先輩は悪い人ではないようだ

ただ最近わかったことは
言葉がとても少ないと言うこと


返事は短文でしか返ってこないし基本的にそっけない

でも冷たいかと言うとそうではなくて


なかなか掴めない先輩との毎日の中でも
先輩があたしの中で密かに気になる存在になっていることだけは分かっていて。

何とも言えないこの感情は日に日に大きくなっている気がする

ストーリーメニュー

TOPTOPへ