
甘すぎて気絶
第6章 オオカミさんとウサギちゃん
「え!なになに!
真琴は黒澤先輩派!?」
一気に盛り上がる柚葉に
そんなんじゃないけど、と言葉を濁す
「黒澤先輩は‥うーん、
実は情報少ないんだよね
女の子とは仕事以外でほとんど話さないし笑ってるところも見た人少ないみたいだよ」
あまりお得な情報もなく
ふうん、とだけ返した
いや、お得な情報ってなんだよって感じだけどね。
「黒澤先輩に興味でちゃった?
ね、ね、ついに真琴が恋!?
真琴可愛いからなあ‥ふふっ」
勝手に妄想を始めて
ニヤニヤ盛り上がる柚葉をよそに
ちらっと先輩の方を見ると
ばっちりと目が合った
‥‥‥渋谷先輩と。
なんだ、渋谷先輩か。
いやいやなんだってなんだ!
べつに期待とかしてないもん!
期待ってなんの期待?
あー、もう、わかんない!
人の気も知らないで黙々とうどんを食べてる黒澤先輩が憎い
あたしは出口がないような感覚から逃げるようにB定食をかき込んだ
