
甘すぎて気絶
第6章 オオカミさんとウサギちゃん
毎日残業につきあってもらって
帰りは送ってもらう
残業中は何を話すでもなく
一緒に過ごす
‥一緒に過ごすって言葉は語弊があるか
まあいいや。
いつまで続くか分からない曖昧な関係だし(これといって何かがあったわけではないのだけれど)
いまだに先輩が来る理由が分からないし
でもコーヒーを淹れて待ってるあたしもいる
さりげなく横流しにしてきた自分の感情に気づいてしまうと
見なかったことにはできなくなってしまった
残業中のオフィス以外で会うと
どう反応したら良いか分からない
挨拶すべきだったかな?
会釈もしないで失礼だったよね
お昼からぐるぐる先輩のことばかり。
時刻はもう終業時間を過ぎている
先輩は今日庶務課に来てくれるかな
ぐるぐる考えながらもやらなきゃいけない仕事はあるもので
仕方なしにカタカタとキーボードをタイプする
何杯目かのコーヒーを飲み終えたころ
庶務課のドアをノックする音がした
― コンコン
先輩かな、と一瞬思ったけど
黒澤先輩はノックなど1度もしたことがない
あれ?
先輩じゃないとしたら誰?
恐る恐るドアを開けると
そこには渋谷先輩が立っていた
