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甘すぎて気絶

第6章 オオカミさんとウサギちゃん



渋谷先輩が来た日から数日。

あの日から社内で渋谷先輩と会うと挨拶や軽いやり取りをするようになった


反面、黒澤先輩はあたしと目も会わせなくなりあの日から庶務課にも来ていない


柚葉からは渋谷先輩と話しが出来ることを羨ましがられたけれど
あたしは黒澤先輩が来なくなってしまったことが寂しくて正直渋谷先輩どころじゃなかったりする



仕事中も柚葉に渋谷先輩とのことを根ほり葉ほり聞かれて
落ち着いて自分の気持ちと向き合えない


「柚葉、ごめん。
あたしちょっと今から買い物行くからお昼一緒できないからね〜」


本当は買い物どころか行く宛すらもないけれどなんとなく今は1人になりたくて
柚葉には悪いけれど1人で庶務課を出た



ぶらぶらと広い社内を歩き回り
途中の自販機で適当に温かいココアを買う

日当たりの良い窓辺にしゃがみ込んでココアに口をつけた



今頃気づいちゃうなんて。
あたしってバカだなあ



確かに過ごした時間も交わした言葉も少ないし
何を知っているわけでもないけれど

あたしはいつの間にか黒澤先輩のことを好きになっていたのだと今はっきりと自覚した



本当、ばかだなあ


今更自覚しても遅い
きっと黒澤先輩はあたしのことなんて何とも思ってないし
むしろ嫌われてしまったかもしれない


目も合わせてくれないし‥‥



ぐじぐじと悩んでいるうちにココアはあっという間に空になってしまった


はあ、とため息を着いて立ち上がりボトルを捨てにゴミ箱へ向かう



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