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甘すぎて気絶

第6章 オオカミさんとウサギちゃん



ペットボトルをいじくりながらゴミ箱へ捨てようとふと廊下の先に顔を向けると向こう側から黒澤先輩と渋谷先輩が歩いてくるのが見えた


うわ、気づかれないうちに戻ろう


急いで庶務課の方へ回れ右をするが

「まことちゃーん!」

本当に残念なことに渋谷先輩に捕まってしまった



気付かない振りをしたが何度も大声で呼ぶもんだから諦めて振り返るとぶんぶんと手をふる渋谷先輩と無表情で横を歩く黒澤先輩の姿


「あ、おつかれさまです‥」


黒澤先輩への気持ちに気づいてしまった今、
今まで通りなんて出来なくて
どちらにも目を合わせず挨拶をした


嫌われているかもしれない相手を今更好きだと気づく馬鹿はこの世にあたしくらいかもしれない


「廊下で会うなんて!ラッキー!ね、竜樹?」


脳天気な渋谷先輩があまりにも恐ろしい無茶ぶりをし出したのでとてもじゃないけど顔をあげられない


「なんでこっちみなーいの?」


ついにあたしの態度に疑問をもったのか渋谷先輩が屈んであたしの顔をのぞき込んできて
あまりにも近すぎる距離に数歩後ずさる


「せ、先輩、近いです!」


「はは、まことちゃんかわい〜!
なでなでしたげる!」

ケラケラと笑いながら渋谷先輩があたしの頭を撫でようと手を上げた

思わずぎゅっと目を瞑るがなかなか手が降りてこない


恐る恐る顔をあげると
渋谷先輩の腕を掴む黒澤先輩の姿が。


「あ、‥‥‥」


やってしまった、みたいな表情の黒澤先輩とニコニコと頷きながら微笑む渋谷先輩


わけがわからないあたしは2人を交互に見るしか出来なくて

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