
甘すぎて気絶
第6章 オオカミさんとウサギちゃん
「竜樹?オフィス、いいよ」
渋谷先輩がニコニコしながら黒澤先輩によくわからない言葉を告げると黒澤先輩の瞳があたしを捕らえたのが分かった
「‥‥‥さんきゅ」
黒澤先輩が渋谷先輩を見ずにお礼を言ったかと思うとあたしは黒澤先輩に腕を引かれていた
「ちょ、黒澤先輩!?」
スタスタと前を歩く黒澤先輩の後ろ姿とニコニコと手を振る渋谷先輩を交互に見ながらも引っ張られる方向へと着いていく
「黒澤先輩‥!どこいくんですか!?」
あたしの質問は完全に無視で
スタスタと廊下を歩く先輩と引っ張られながら着いていくあたしがたどり着いた先には
「営業課‥‥‥?」
そう書かれたドア
先輩が勤務してるのって確か営業課だったような‥
迷いなくドアを上げて中に入る先輩(と、引っ張られるあたし)
先輩がドアを閉めたかと思うと
あたしはぎゅっと抱き締められて先輩の胸の中にいた
「っっ!!!」
近い!近い近い近い近い!!!
心臓が有り得ない速さで動き出していて、こんなに接近したら先輩に聞こえてしまいそう
あたしのこと嫌いなんじゃないの?
なんで庶務課来てくれないの?
なんで目も合わせてくれないの?
何故今自分が抱き締められているのかなんて検討もつかない
