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甘すぎて気絶

第6章 オオカミさんとウサギちゃん



長身の先輩が屈んであたしの頭に頬を寄せて耳元でため息をひとつ吐いた


「せんぱい‥‥?」


ドキドキしすぎてこの無言の時間に耐えられず思わず先輩を呼けれど

「竜樹」

先輩からの返事はこれだけ。


??
どういうこと??


「黒澤先輩?」

「竜樹」

もう一度呼ぶけれど同じ返事しか返ってこない

下の名前で呼べってこと‥?


「竜樹先輩‥?」


「先輩なんて付けんなよ‥」


思わず先輩の顔を覗き込むとぎゅうっと胸が締め付けられそうなくらい切ない表情を浮かべていた


「たつき‥?」

呼び慣れない名前に疑問符をつけてしまう


「ん」


照れたように再びあたしの首筋に顔を埋めながら先輩が短く返事をした


呼べっていったくせに照れるなんて
なんだか可愛いと思ってしまう

さっきまでの疑問なんて全部吹き飛んで
今、こうしていることが幸せで仕方ない気持ちになってきた


つい、ふふって笑みが零れてあたしもぎゅうっと抱きついてみた

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