
体で愛して!
第2章 秘密の香り
「彼女にフラレた。テンション上がらないから、ロック聞いたら上がるかなって」
「そんなに…好きだったの?その人のこと」
「好きっていうか…やっと忘れられそうだったんだよな」
「誰を?」
「お前を」
「は…はぁ!?」
「冗談!はははっ」
「さ…最低!嘘つき!」
私が握りこぶしを作ってお兄ちゃんを叩くと、今度はお兄ちゃんが私のうでを掴んだ。
「冗談じゃなかったらどうする?」
いきなり真っ直ぐに私を見つめてくる。
赤みがかった茶色の前髪の隙間から見えるきれ長の目が、私をとらえて逃さない。
「な…何言って…」
私の言葉が終わらないうちに、お兄ちゃんは私の唇を自分の唇で塞いだ。
