黄色い恋 ~kazunari ninomiya~
第8章 ケンカ
両手を握りしめてあたしは二宮に反論する。
和「っるっせぇなぁ、でけぇ声だしてんじゃねーよ」
『帰んぞ』
ぶっきらぼうに言い放たれた言葉をあたしは無視して膨れたまま立ち止まる。
和「…チッ、もう、分かったから!行くぞ!」
二宮はグイッとあたしを引いてつかつかと歩き出した
麗「ちょっと!まっ、……こけちゃうっ」
男の子の歩幅で歩かれちゃよろつきだってする。
和「だぁー!もぅ、なんだよ!」
何でよ、意味分かんないし。
そっちが勝手にあたしのこと振り回してるくせになんで?
なんであんたが怒るのよ。
麗「意味分かんない。逆ギレ?」
馬鹿にしたように笑ってやった。
そしたらまた舌打ちしてあたしを睨む。
和「あ?何が言いてぇんだよ」
麗「そっちが勝手なことしてるくせにあたしのこと怒れんの?!」
和「じゃあ俺にどうしろっつーんだよ!」
どんどんどんどん険悪なムードになってきて。
麗「女のコ連れてるんだからもっと気遣い出来ないのかって言ってんの!そんなことも分かんないの?!あんた馬鹿ぁ!?」
あたしも言い出せば止まらない、
あ、完全にキレたな
って分かったときにはもう遅かった。
和「あぁ、そうかよ。…好きにすれば?」
あの死んだ目でそれだけ言うと二宮は門に向かって歩き出した。
麗「…っ!言われなくてもそうしますー!!」
あいつの背中に叫んであたしは逆方向にドカドカと歩く。
麗「っによ!あたし悪くないもん」
なんなの?!
あいつが勝手にあたしの周りをうろついてんのよ!
なんであたしがこんな風に言われなきゃいけないわけ?!
麗「……うざ、」
……違うの…、
さっきのに怒ってるんじゃない。
今までのこと思い出したらとまんなくなっちゃっただけ。
……あたしだって悪い…。
分かってるけど…、
あたしにだって意地がある。
麗「意味……わかんない」
もうこれであいつに構われることがないのは嬉しい。
でも……
このまま
やなやつだった。
って思われたままなのはなんか許せない。
麗「…………謝んの…?」
うわ…、なんかやだ。
あたしも素直じゃないなぁ…。