黄色い恋 ~kazunari ninomiya~
第2章 ご指名
「おい、黄色い野原」
突然、廊下の方から大きな声が聞こえた。
「きゃー!二宮君!」
「どうしたのー?」
きゃーきゃーと女のコの歓声(?)も聞こえる。
麗「なんだぁ?うるさいなぁ…」
せっかく櫻井くんとお友達になれて幸せ気分だったのに!
あたしは声のした廊下側に振り返った。
麗「ぬぁ!?」
あっ、あの人だぁぁぁぁ!
てか、『黄色い野原』ってあたしっすか?
麗「なんなの…?あの人は…」
小さくそう呟いたとき、
「えぇー!麗菜、二宮君知らないの?」
あたしの後ろの席の桐谷桜(きりたに さくら)が声をかけてきた。
麗「え、桜知ってるの?」
桜は驚いた顔をして
桜「知らない人なんていないわよ!」
と言って「あんたを除いてわねー」と付け加えた。
麗「ふーん、なんでそんな有名なの?」
あたしは教室の入口で揉みくちゃになってる『二宮』とやらを見て聞いた。
桜「はぁー…、そんなことも知らないとはね、あのねぇ、二宮君はこの学校の2大モテ男、って言われてんの!」
なんじゃ、そのダッサイの。
モテ男て(笑)
麗「あれがぁ?どこがいいの?冷たいし、ムカつくし、上からだし、」
あー、思い出したらムカついてきた。
桜「…あんた何があったの?」
ん?ちょっと待って、
2大ってことは、
麗「もう一人って誰?」
あたしはちょっと桜の方に身を乗り出して聞いた。
桜「え?そりゃー…、櫻井くんだよ」
うっそー!
かっこいいし、人気あるとは思ってたけど、
麗「…2大モテ男って…、ハードル高すぎ…」
さっきあんなに馬鹿にした『モテ男』が今じゃキラキラ光って見える…。
麗「え、んじゃあ、それってさ!」
と、そこまで言いかけて、
ー『ガッ!』
誰かに首根っこを捕まれて、猫みたいに立たされた。
麗「ふぉぉぉぉ!」
何?!誰?!
レディーになんてことすんのよーー!
「馬鹿みたいな声出してんじゃねーよ」
ふぉ?!この声は…!
今日、嫌というほど聞いた…。
麗「あーーーー!!」
和「よぉ(笑)」
二宮はにやって笑ってあたしを離した。
和「おまえさぁ、人が呼んだらこいよ」
そいつは呆れてるのか、溜め息をついてあたしに向かってそう言った。