黄色い恋 ~kazunari ninomiya~
第4章 名前
和「おい、黄色い野原」
来た…。デジャブ…。
麗(むっ、無視無視!)
二宮はまた、あたしのクラスまできて廊下からあたしを呼ぶ。
桜「麗菜ぁ?二宮君、呼んでるよ?」
桜はあたしのことをツンツンとつついて廊下を見る。
麗「しっ!見ちゃだめ!」
嫌よ、嫌よ!
女子からいじめられるなんて絶対嫌!
だからあたし決めたの。
徹底的に無視して関わらなければいい。
そうすれば向こうも嫌でも諦めるでしょ。
『責任』とか言うのはあいつが勝手に言ってることだし。
うん、あたしって頭いいっ!
……………………けど…、
和「おーい、おーい!黄色!無視すんなよ!おい!ってめぇ!」
……これって…、これって我慢の限界?
桜「れっ麗菜?!」
ー『ガタン!』
麗「っうるっさいわね!!こっちが無視してんだから嫌がってるって分かんないの?!それに!『黄色い野原』とか変な名前で呼ぶな!」
そこまで言ってはっとした。
……やっちゃった…。
ヤバイ、ヤバイヤバイヤバイ!
ガチでマジで本気のやつでヤバイ!
麗「……あ…、な、なーんてね☆」
……はい、だめ。
無理矢理誤魔化すには無理がありすぎる。
和「……ふーん、お前はそういうこと言える立場だったか?」
は?
麗「な、何よ…、」
二宮はあたしの方に近づいてきて目の前で止まった。
和「……責任、とらないの?」
とらない。とりませーん。
……って言えたらいいのに…。
こいつ…、目ぇ死んでるよ…。
怖い、
麗「……とっ、……とら…、」
言っていいかな?
いや、駄目ですよね。
今ここでとらない、とはっきり言えば、
それこそ大金でも要求してきそう。
それぐらいの勢い。
こいつの目はそれだけ、物を言わせぬ迫力があった。
麗「……っ!」
あたしが返答に困っていると、
和「行くぞ」
また、あたしのカバンを取って歩き出した。
手首も掴まれてる。
同じ光景。
グイグイと二宮はあたしを引く。
何度、同じ光景を見ればいいの?
麗「ちょっ、また?だから離せー!離してよ!は・な・せー!二宮ー!」
と、突然二宮は止まって
あたしの方へ振り向いた。
和「二宮って呼ぶな」
え?
麗「なによ…、あんた二宮でしょ?」