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愛の嵐

第8章 霧中の嵐

ゆっくり思い出すように話した
向かい合う雅紀くんは真剣に聞いている
普通は絶対笑うだろう夢の話
なのに一切目を逸らす事も笑う事も無く聞いてくれた
さっき見た夢まで来ると、大粒の涙がお湯に溶けている

相「何で涙が出るのか分かんないけど、止められないよ」
大「大丈夫だよ!」

抱き締めてあげたいけどバスタブは狭い
だから手を伸ばして頭を撫でた
グズっと鼻を啜る音が響く
子供みたいで可愛いなぁ

大「逆上せる前に上がろうか」
相「ぅん、あがる~」

まだ泣いてる
相変わらず泣き虫なんだから
今度は俺が世話をしている
体を拭き服を着せた
細い腰を抱き寄せ浴室を出る

大「ほら、もう泣きやんで?」
相「そうしたいんだけど、止まらないし胸が痛いよ~」
大「痛いの?!」
相「苦しい、辛い、痛い!締め付けられるんだ!」

聞く限り病気とかではないみたい
ホッと胸を撫で下ろす
でもその症状は俺と同じ?
夢を共有すると痛みまで共有するか?
普通ではない状況に頭を悩ます
気付けば胸を押さえ苦しそうな顔
それで寝てる
え?・・寝れんだ!

大「痛くても寝れるってある意味凄いよ!」

起きるのも構わず大笑いしてしまう
本当は苦し過ぎて気絶・・みたいな事に俺は気付かなかった

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