売られ少女
第2章 異常なお坊っちゃまと、その家族
その部屋は、食事をとるダイニングのようだった。
といっても、私の家のものとは比べものにならないほどの長く立派なテーブルに、豪華な食事が並べられていた。
食卓には、いかめしい顔の男性と、私よりも少し年下に見える少年が座っていた。
少年がこちらを振り返り、目を輝かせながら言う。
「兄様! これが新しく買った家畜?」
私は耳を疑った。
こんなに純粋な表情で、この子はいったい何を言ったのだろう。
少年の言葉を受け、ケントは少し笑って、
「ああそうだ。今日届いたばかりなんだ」
「へえ! 兄様、また俺にも貸してくれる?」
ケントは、目を輝かせる少年の頭にポンと手を載せた。
「ああ。ただし俺が調教してからな。それからショウにも貸してやるよ」
ショウと呼ばれた少年は、やったあ!と無邪気に喜んだ。
目まいがしそうだ。
貸すとは何なのか。
本当にこの人たちは、私を人間だと思っていないのだろうか。
…そうなのだろう。
裸に首輪という私を目の前にして、全く動じる様子のない人たち。
それは、私を本当に家畜だと思っているからだ。
なんて人たちなんだろう。
そのとき、いかめしい顔をした男性が口を開いた。
「ケント、ショウ。話はそのくらいにして、早く席につきなさい」
「はい、お父様」
ケントは、今までの私への態度など嘘のように、礼儀正しく返事をした。
そして2人とも食卓につき、食事が始まった。