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。+゚僕は君に恋をした。+゚

第11章 日高の苦難

体育館前の手洗い場で顔を洗い流れてくる涙をしばらく水道の蛇口から出てくる水に当てて跡が残らないように冷やしていた

しばらくして携帯が鳴った

日高の着信音だった
日高‥‥

悲しい気持ちで携帯を開けると

先輩どこ?
探したけど居ねーじゃん
どこだよ! 一樹

コイツは‥

今さっき口だけとはいえ犯された事には変わりないのに日高の声が聞きたくて、日高に抱きしめてもらいたくて

日高の居る玄関ホールに向かった

ハァハァハァ‥日高‥‥

一歩一歩確かめるように玄関ホールの中に入って行くと

下駄箱にもたれながら右手を頭の後ろに置いて俺を待っている日高の姿が目に入った

「ひ‥か‥っだ‥か‥‥日高!!」

俺は次第に叫んでいたのだろう

最後は日高がびっくりして駆けつけてきたぐらいだった

「先輩?どこ行ってたんだよ!あ♪!今日ハンバーグ食いてーぇな♪」

屈託のない笑顔の日高

今すぐ汚された唇を清めてほしい

じーっと日高を見ていると

「帰ろう?♪先輩」

チュッ♪

軽いキスだったけど嬉しかった

日高が左手で手を繋ぎたそうにしてきたけど

きつく結ばれて跡がついているかも知れなかった手首を知られる訳にはいかず

「お前肩痛めてるからダメだ」

俺も今日は繋ぎたい気持ちだった

けど‥

「ちぇ!」

唇尖らせて拗ねた日高

右手で俺の鞄まで持ってくれている

俺が持つ!と言ったけどコイツは先輩の持ちたいと言って聞かなかった

「先輩♪スーパー寄るんだろ?ここにしねー?」

ネクタイの跡ばかり気にしていた俺は目の前のスーパーに気づかなかった

「あっああ。入ろうな‥」

買い物カゴをカートに乗せカートの下に鞄を置き
コイツは俺に何も持たせようとしない‥

カートを押すのも日高だった

「先輩ハンバーグがいい♪ハンバーグ作れるよね?」

作れなかったらどうするつもりなんだ?
作れるけど‥作れないと言ってみるべきか?

そう考えていると日高がどんどん自分から離れていく

「待てよっ」

俺はカートを押す日高の横でただ日高の取って入れていく物を見ているだけだった

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