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別に俺は彼を待っていた訳じゃない

いつも通りの時間にいつもの席に座り本を読みながら視線を感じる

その視線がないのに少し寂しさを感じただけだ


パﾀﾝッと閉じた本を鞄に入れ俺は帰る事にした

廊下を歩いていると黒川教授とばったり出会ってしまった

｢相川君まだいたのかね？私の教室でｺｰﾋｰでもどうかね？｣

俺は‥

｢いただきます。｣

断る事ができなかった。


｢座りたまえ｣

教授は優しく俺をｿﾌｧへと座らせた

｢最近の君は何だか上の空みたいに感じるが何かあったかな？｣

俺は何故かﾎﾟｹｯﾄに入れた彼のメモをﾎﾟｹｯﾄの上から握っていた

｢ｺｰﾋｰが出来たから飲みなさい｣

教授が出してくれたのはﾐﾙｸがたっぷり入ったｺｰﾋｰ

一口飲むと俺の好む少し甘めのｸﾘｰﾐｰなｶﾌｪｵｰﾚ

｢美味しいです｣

俺はそのｶﾌｪｵｰﾚを飲みながら安心する自分がいた

｢私はなつめ君の事なら何でもわかるからね｣

そう言って俺の隣に座り膝に手を置く


ｽﾞﾙｲ人だ‥


｢教授は人を好きになった事はありますか？｣


不躾な質問をしてしまったと思った

少し考えた教授は

｢君より歳をいっている分それなりに経験はあるつもりだが｣

俺の知りたい答えじゃなかった

｢そうですか‥ｺｰﾋｰご馳走様でした。失礼します。｣

立ち上がった時教授に腕を引っ張られてﾊﾞﾗﾝｽを崩し教授の上に乗り上げる型になってしまった