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。+゚僕は君に恋をした。+゚

第44章 思い出

自分達の部屋の前に着き
ふーっと一度大きく深呼吸して開けた扉

ゆっくり足を踏み入れる

目を覚ましたら小野寺さんはいなくて

同じ階だと若い男がエレベーターで言っていた事を一人ベッドの中で思い出す


誰かが部屋に入って来ようとしているのが気配でわかった

「橘さ」

ガチャッと開いた部屋の扉

「誰っ!?」

「えっ?」

開いた扉を見ると小野寺さんが立っていた

「誰って俺しかいないだろ?皆待って‥橘さん?」

シーツを身にまとった橘さんがベッドから降りたかと思ったら

走ってきて俺の胸に飛び込んできた

「どうした?怖い夢でも見たか?」

「うーうん‥」

首を横に振った

「どうしたんだ?」

「このままで‥」


「‥‥‥‥」

「しばらくこのままでいさせて‥」

‥‥‥‥。

橘さんを優しく抱きしめ返した

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

俺には小野寺さんがいる

小野寺さんが好き

この気持ちは嘘じゃない

だけど‥。


突然現れた昔の恋人

好きなまま別れた江崎

待っても‥いくら待っても
探しても現れなかった想い人

「小野寺さん‥」

「どうした?」

「もっと‥もっと力いっぱい抱きしめてほしい‥」

橘さん?

「お願いだから‥」

逞しい腕が俺の身体を痛い程力いっぱい包み込む

「こ‥これでいいか?」

あまり力を入れると橘さんが壊れてしまいそうで

「‥う‥ん‥」

俺をその腕でしっかり捕まえてて小野寺さん‥

離さないで‥

お願いだから‥離さないで‥


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