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。+゚僕は君に恋をした。+゚

第44章 思い出

「橘さん大丈夫?落ち着いたか?」

ゆっくり引き離される身体

離さないで‥。

もう一度しがみついた

「どうしたんだ?けどこうやって俺に甘える橘さんも悪くないなクス」

甘え?

「俺は別にっ」

急に恥ずかしくなってバッと小野寺さんから離れた

トゥルル♪トゥルル♪

小野寺さんの携帯がその時鳴った

「はい。あっ甚一か?どうした?」

俺が話し終わるのを隣で待つ橘さん

「長くなりそうか?わかった。少し待ってくれ」

受話口に手をかざした小野寺さん

「皆待っているだろうから悪いけど橘さん先に行っといてくれるか?」

「長くなりそうなの?」

「すまない。甚一?で話は? 」

また話し出した小野寺さん

そっか‥

長くなるなら仕方ないか…

俺は小野寺さんを置いて先に3階の皆の部屋に向かった

5階から3階だしまたエレベーター使えば江崎と出会うかも知れない

階段で降りる事にした

今また会ってしまったら‥
会ってしまったら‥

俺‥‥。

そんな事を考えながら降りる階段

一歩一歩ゆっくり降りたはずが踏み外してしまった

「っ!!(え?)」

ガシッと誰かが身体を支えてくれて前に倒れずにすんだ

「すみません。ありがとうござ‥」

江崎?

「いいえ♪気をつけて下さいね(笑)それじゃ」

一瞬江崎に見えたその人は違う人だった

何で‥。

江崎と思ったんだ俺?

きっとまた会ったらどうしようとか考えてたからだ

そうだ‥

そうに違いない

偶然の再会の後エレベーターでの突然のキス

怖かった

だけど懐かしい江崎の温もりに触れた


何で今更‥


何であんなキスなんか‥

手すりからズルズル滑り落ちていく身体
その場にふさぎ込んでしまった

小野寺さん‥

捕まえててよ‥

俺を捕まえててよ‥

「‥‥ッ‥‥ゥ‥」


勝手に涙が溢れてしまう


嫌いで離れ離れになった訳じゃない

探しても探しても待っても待っても現れなかった俺が初めて愛した人

この温泉旅行で偶然ばったり出会ってしまった

そんな簡単にこのまま思い出になんて

小野寺さんは俺を愛してくれている

あの時感じた小野寺さんの愛


だけど‥

俺わからなくなりそうで怖いよ‥

小野寺さん

怖いよ‥

助けてよ‥

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